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第13回「ストーカー著書で注目の小早川明子先生に聞く」

「ストーカー対策」<前編>
「『ストーカー』は何を考えているか」著者の小早川明子先生に聞く

風俗のお仕事をしている人にとって常連のお客さんというのは、自分の収入を安定させてくれる大事な人です。しかし、一生懸命対応するあまりお客さんが自分にのめり込みすぎてトラブルが起こることもあります。お客さんがストーカーになったりしないようにどんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
そこで今回は、「『ストーカー』は何を考えているか」(新潮新書)の著者で、ストーカー問題やあらゆるハラスメント問題に対応するNPO法人ヒューマニティー理事長の小早川明子先生を講師にお迎えし、ストーカー対策質問会を開催しましたのでレポートします。

◆お客さんに気をもたせてしまう危険性をなくす

小早川先生は15年間にわたり、約2000件もの様々なハラスメント案件に取り組んでこられました。その中で、一番多いのはストーカーに関する相談だそうです。そのうち、20人くらいの相談者がセックスワーカーからのもので、年間1人か2人のセックスワーカーの方からのストーカー相談を受けるそうです。 それらの相談経験と参加者からの質問をもとに、小早川先生がアドバイスしてくれた、風俗で働くときに気をつけなければならない大事なことは次のことです。

1、「○○回指名してくれたらデートしてあげる」など、安易な約束をしない。
ストーカーになるタイプの人は、こうした約束のハードルを絶対に忘れません。そして、約束が守られなかった場合、「約束したじゃないか」となって、怒りや憎しみを生じさせ、ストーカーに発展する危険性があるので、対応する気のない相手には、安易な約束をしないことです。

2、話自体を褒めても、相手を褒めないことを心がける。
例えば、「その話はおもしろいですね」という会話と、「面白い話をするあなたは素敵ですね」という会話は、それぞれ違う印象を相手に与えます。後者の会話の場合、ストーカーになるタイプの人は、自分が特別に受け入れられたとか、自分は好かれている、という妄想を抱く傾向があるので気をつけましょう。 また、心をみせるようなことを言葉にしないようにすることも大事です。ストーカーは言葉に過敏ですから、「自分の心に響きました」、みたいな感想を口にするのはできれば避けたく、ボディランゲージとかで補うなど工夫が必要です。

3、お店以外の外で会うのはやめる。
たとえこちらが「あなたに気がある」と口に出して言ってなくても、外で二人で会う段階で、相手に気をもたせることになります。仕事ではないプライベートで会うことは、「自分のために時間をつかってくれている」と思われ、特別扱いをしてくれているという勘違いを呼び起こします。

4、指名期間が長い人には、時々、現実を伝える。
長い期間にわたって指名をし続けてくれているお客さんの中には、もしかすると、いつか恋人になってくれるかもしれないとか、外でデートしてくれるかもしれないという期待を抱いて指名をし続けている人もいるかもしれません。 それを確認するためにも、ときどき、「自分はお店で働いているから恋愛感情は持てないけど大丈夫ですか」というような、これは仕事なんですよ、と暗にわからせる一言を言って、お客さんとの関係性を確認するようにしましょう。

5、携帯電話はお店のものだと伝える。
お客さんに携帯番号やメールアドレスを教える場合は、「お店の携帯を持たされている」と言うようにしましょう。そうすれば、いずれお店に携帯を返さなければいけなくなるということで、お客さんも心の準備がしやすくなり、使用制限があるという条件も言いやすくなります。

その他、特別扱いするようなことは、すべて期待を持たせることに繋がりますので、要注意です。ストーカーはエスカレートします。期待を外れたら脅してくるようになります。

電話やメールを無視して、店の出入りも禁止しても、連絡を断たれた時間の間に怒りや不安、憎しみが沸点に達すれば、ストーカー加害行為に及ぶ恐れがあります。たとえ、電話やメールをシャットアウトできて、静かな期間が訪れても、その期間はストーカー加害の準備期間にもなっていたりもするので、すぐに安心することはできません。 (平均的には「会って、お願い」という要求の段階から、2カ月で危険な状態になる。)

もし自分に、特別扱いをした、気を持たせるような行為をした覚えがあって、相手が脅してきたら、「好きではないのに気を持たせるようなことをしてしまってごめんなさい」と、素直に謝ることも大事です。ストーカーはプライドが高く、かつ加害意識が低いので、謝罪されると自らの被害者意識が癒されることもあるのです。 ただし、これはまだ初期の段階の話。悪質なストーキングが起きてしまったら安易な謝罪は決してしてはいけません。

謝罪してもエスカレートしたり、最初から脅してきたら、直接のやり取りで解決できることはないと見切って、第三者を介入させるか、警察に相談する段階です。

サービス提供する人は頭をよく働かせられないとだめで、漫然と仕事をしていると被害に繋がることを、自分の安全のために知っておかなければなりません。

<後編につづく>

小早川明子先生のプロフィール
ストーカー問題をはじめDVなど、あらゆるハラスメント相談に対処するNPO法人「ヒューマニティ」理事長。1999年に活動を始めて以来、500人以上のストーキング加害者と向き合い、カウンセリングなどを行なっている。


小早川先生の著書「『ストーカー』は何を考えているか」(新潮新書・2014)